2009-01-01から1年間の記事一覧

『徹底追及「言葉狩り」と差別』週刊文春編・『「差別表現」を考える』日本ペンクラブ編

前に読んだ『差別用語を見直す』が面白かったので、類書見てみた。どこからも抗議がなかったとしてもそれが「空気」だからと未だにタブー語が増えていくばかりなのは、やっぱり大手マスコミの怠慢が大きいと思うわ。70〜80年代の事例にしたって「やりようは…

ポルノ映画館で観た『赫い髪の女』

中上健次で思い出したけど、ずっと前に日活ロマンポルノ上映会に行ったことがある。いろんな作品をやっていたはずだけど、私が観た回は『赫い髪の女』と『実録 阿部定』の2本立ての日。普通の映画館でしてくれたらよかったのに、わざわざポルノ映画館でやっ…

『十九歳の地図/蛇淫他(中上健次選集11)』

中上健次の初期ってこんなに青春小説だったんですね。なにせ初出は文藝とかすばる(文藝とかすばるって昔からワカモノの青春噺が好きな雑誌だったんですね)。中上健次といえば「無軌道で荒々しい路地の若い衆」だけど、初期はどっちかといえば繊細で潔癖(…

『それってどうなの主義』斎藤美奈子

しばらくチェックしてないうちにたくさん本が出てたので追っかけ読んでみた。書評じゃなくて時評みたいな感じ。まあ、サヨク時評というか…。最近、はっきりサヨクってめっきり目にしないから「うわーこんなこと言って大丈夫なのかなあ」とかハラハラしてしま…

『差別用語を見直す』江上茂

副題マスコミ界・差別用語最前線。これは予想外に面白かった。図書館の人権コーナーの棚にあったから地味でつまんない本に違いないと思ってたら、あんまり面白くて読むのがやめられんくらい。まあ、マスコミへのいわゆる糾弾の歴史について詳細に記録したも…

キム・ギドクの『弓』:でた!オヤジファンタジー

いつかは見なければと思いながら、きっとマッチョでしんどいぞ〜、見たら嫌〜な気分になるぞ〜、と思って敬遠していたキム・ギドク作品。私としてはラース・フォン・トリアーと似たイメージを持っていた。アート性は高いけど痛々しくてえぐい、みたいな。 キ…

マイコー

たまたまこの間、Dead or Aliveのピート・バーンズの整形話をyoutubeその他で見てたところだった。直すところなどどこにもなさそうな、隙なく整った顔をしていたピート・バーンズは整形のやりすぎでまったく顔が変わってしまっており、誰が見ても「前のほう…

そんな共演いらない

イ・ビョンホンの新作がキムタクと共演とのことで、え〜キムタク出てるなら見たくない(別にキムタクが嫌いとかそういうわけじゃなく、いや嫌いといえば嫌いかもしれないけど、そういうことではなく)ブーイングー。共演ってだけで引くのに、なによその「人…

包茎文学@斎藤美奈子

「清水研究員のアジアな日々」の清水研究員さまから、「アンタは確か村上春樹のことを『包茎文学』と言ってなかったか? あれはまさにピッタリやと思ったが」とメールをいただいた。ええっ、私がそんな下品なことを?言った気もするが覚えてない…(最近物忘…

村上春樹が嫌い

『ノルウェイの森』の春の熊がどうしたとかいう噴飯物のくだりを読んでから、人はこんなもんよく読めるなあとずっと思ってきた。今でもそう思っている。もったいぶって何か言ってるようで実は何も言っていない(例のイスラエルのスピーチでもそうだった)、…

栗本薫/中島梓のこと

子供の頃にこの人についての雑誌記事を見たことがあり、その中でやたら「美人」とか「才色兼備」とか謳われており、写真も載っていたのだけど、「きっと大人の世界ではこういう人が美人なのだろう」と無理矢理納得したのを覚えている。無理矢理納得した割に…

薔薇より美しいのか

『君は薔薇より美しい』の歌詞が不可解だなあと思っていたら、ゆうべのラジオ深夜便がたまたま布施明特集で、アナウンサーがこの曲について「久し振りに会った女性が美しく変わった様子と、それを見る自分の気持ちを歌った」歌なのだと説明していた。 すると…

覚え書き>トランスヴェスタイト他

John Partridge in Two Amazing Musicals ミュージカルCatsでRum Tam Tugger役だった人。歌い方がグラム風で、ひところのDavid Bowieのよう(だと思ってたら、ロッキーホラーショーの"Sweet Transvestite" にTuggerの口パクを合わせて編集している人がいて、…

アダルトな歌謡曲

そのラジオ深夜便で「アダルトポップス特集」というのをやっていて、寺尾聰の『シャドー・シティー』という曲がかかってた。聞いたことはあったけど、こんなええ曲やったんか、とちょっと驚いた。当時の流行語だったんであろう「なんてセクシ〜」のところが…

ロジャー・パルバース

いつものように夜更かしをしてラジオ深夜便をBGMにしていると、ロジャー・パルバースが宮沢賢治の話をしていた。宮沢賢治には宗教色(日蓮宗)の色が濃いが、これは日本文学には珍しいことなのだと言う。日本人はどちらかというと、谷崎や川端にみられるよう…

マンガ業界

http://www.zakzak.co.jp/gei/200905/g2009050725_all.html えらいことになってるんですなあ。 少し前から、もしかして今のマンガが面白くないのも小説が面白くないのも、みんな大手出版社の編集者が悪いんじゃないの?とひそかに怪しんでいた。新人作家には…

『ネコの毛並み』という本

ずっと前にどこかの図書館で借りて読んだ。著者は野澤謙という動物遺伝学者の人で、裳華房というところから出ているが、まあブルーバックスみたいな一般向け化学の本だった (1996/03)。猫の毛並みの柄が遺伝的にどうやって発現するかを素人向けに説明してい…

韓国人は猫が嫌い

韓国人は、在日嫌いであるとともに、猫が嫌い。前回韓国に行った時に猫を見たのは計3回。2度は野良猫で、日本で見る野良猫よりずーっと目が荒んでいた。誰をも信じぬ目といいますか。近づこうとすると脱兎の(猫だけど)如く逃げる。日本ならもっと近くまで…

調子いい時だけ同胞

http://blog.radionikkei.jp/channel/entry-165857.html ラジオNIKKEIのチャンネルアジアという番組に閔栄治という在日のチャンゴ奏者の人が出ていた。高校の時から韓国に留学して伝統楽器を学んでいたそうで、一流プレイヤーのようなのだが、韓国ではやはり…

バラードのインタビューより

PC内の数年前のメモにJ・G・バラードのインタビューの抜き書きが残っていて、この間たまたま読んでいたら、この4月にバラードが亡くなっていたと知った。 ユリイカ1986年のバックナンバー(J・G・バラード特集)に載っていた82年のインタビュー。話題はなぜ…

事業に5つ失敗する男

去年11月の丸激の無料放送回を見ていたら、上杉隆がアソーさんについてこんなことを言っていた。アソーさんは会社を経営してたりするので経済には強いという触れ込みだが、会社を経営してる時、新事業を5つ起こしてすべて失敗し、ヤバいところで弟が出てきて…

萩尾望都の『訪問者』再読

古本屋で100円だったのと、一緒に『偽王』という好きな作品が入っていたので買った。『訪問者』は読んで泣かない人は人としてモグリだと昔から思ってた傑作。24年組、特に萩尾、大島弓子には(また別の意味で山岸涼子にも)、ある種の凶暴性があると思う。凶…

BLと保守性

ボーイズラブの最大の特徴は「保守性」だと常々私は思っている。『シュミじゃないんだ』という本の中でBL好きの三浦しをんは、BLの中でも「近親相姦」と「不倫」は最も苦手だと書いていた。同様に「大人(40代とか)と子供」も「社会的枠組みから反する」か…

ジュリ〜

去年の11月ですか、夜型生活だったので昼頃目が覚め、目覚ましに傍らのラジカセのスイッチを入れた。寝ぼけたままで聞くともなく聞いてたら、ラジオでおっさんが1人でぼそぼそ喋っていた。本当に「ぼそぼそ」という感じだった。寝ぼけたまま聞いていると、ど…

ミーハーのつづき

さっきテレビつけてたら日曜美術館が始まり、新しい司会者が姜尚中だと知った。なんじゃそりゃ〜、ええかげんにせ〜よ〜、と呆れてたら、ゲストは村上隆。速やかにテレビ消す。本当に、テレビ見なくなった。 NHKもミーハーだけど、姜尚中のミーハーっぷりに…

ミーハー、オタク、ヤンキー

ナンシー関が「日本人の気質はミーハー、オタク、ヤンキーの3つに分類できる」と言っていたと、この間読んだ「ヤンキー文化論序説」という本に出ていた。数年前に韓国からのお客様を連れて祇園祭に行った時に見た群衆に衝撃を受け、ヤンキーこそが本来の、大…

『「人間嫌い」のルール』中島義道

この人の本はいつもそうなんだけど、断片的には共感できるところが多いのに、全体を読むと何だかとても鼻持ちならない。いい気なもんだぜ、と思ってしまう。『うるさい日本の私』はとても面白かったけど、売れたせいか、それ以降の本は自分勝手な自分が受け…

千円にされても

ボヤキにしかなんないので言いたかないけど、高速乗りホーダイ千円ポッキリ!って言われても、車持ってるような所得水準の人にしか利益ないじゃん。それで料金収入が減った分の補填は税金からするんでしょ。その税金は車を持ってない人が払った分も含まれる…

自己責任

テレビで評論家が茨木のり子の「自分の感受性くらい」という詩を紹介しつつ、「これが本当じゃないのかあ。あんたこれをどう思うのかあ」とゲストの湯浅誠に詰め寄っていた。自分の感受性くらい自分で守れ、人のせいにするな、暮らしのせいにするな、時代の…

『魔王』(韓国版)ラストに思う

ネタバレです。 最終回をさっき見終わった。ラストは韓国伝統の○にオチ。やっぱこうなるしかないかー。このドラマだけで一般化するわけではないけど、韓国人にはこう、何ともいえず暗〜い情念が胸のうちにあるね。最後に死ぬことで胸にすとんと落ちるものが…