BLと保守性

ボーイズラブの最大の特徴は「保守性」だと常々私は思っている。『シュミじゃないんだ』という本の中でBL好きの三浦しをんは、BLの中でも「近親相姦」と「不倫」は最も苦手だと書いていた。同様に「大人(40代とか)と子供」も「社会的枠組みから反する」か…

『「人間嫌い」のルール』中島義道

この人の本はいつもそうなんだけど、断片的には共感できるところが多いのに、全体を読むと何だかとても鼻持ちならない。いい気なもんだぜ、と思ってしまう。『うるさい日本の私』はとても面白かったけど、売れたせいか、それ以降の本は自分勝手な自分が受け…

姜尚中『悩む力』のバカ売れ

トーハン2008年年間ベストセラー 新書・ノンフィクション部門3位ですよ。新聞の全面広告でも、陰影たっぷりでアゴに手を当てて悩む姜先生のお写真拝見しましたが、全面アップ写真には驚いたなあ。どこまで人気者やねん!と。 クレオパトラやないけど、姜尚中…

林檎の樹

佐藤優が角川文庫の広告ページでゴールズワージーの「リンゴの木」(角川版はこういう字。風情ないなあ)を紹介していた。オックスフォードのエリート学生が田舎の少女と恋愛したあとあっさり捨てて金持ち女と結婚する、そしてそのあと少女が自殺したことを…

神林長平「あなたの魂に安らぎあれ」

20年以上前の本だけど図書館になかったのでリクエストして買ってもらった。忙しくて期限内に読めなかったので延長しようかと思ったら、すでに他の人の予約が入っていた。待っていた人いたんかー。 後半から結末にかけてはエンターテインメント小説ぽい予定調…

直木賞受賞作

人間の暗部をえぐった問題作、しかも近親相姦もの、と聞いて、「私の男」を読んでみました。ちょいあざといタイトルだなあと思いつつ。感想は……直木賞も芥川賞も、もうやめたほうがいいと思う(ついでにオリンピックもノーベル賞も)。出版業界の退廃を感じ…

『素粒子』ミシェル・ウエルベック

うーん…。面白いのかな?これは。野崎歓による訳者あとがきのアツさから、「文学的事件」?だったことは察せられるんですが…。現代人の孤独と幸福の不可能性が描かれてるといいながら、作中人物は最終的には男にとって都合のいい女の出現によって現世的に幸…

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

海外文学に詳しくないので、日本との事情の違いがわからない。日本では小説のジャンルは細かく分けられていて、純文学、エンタメ(中間小説ってのは最近はいわなくなったがこれも変な言葉だった)、SF、ミステリー、ファンタジー、ライトノベル…。SFやミステ…

芥川賞作家の宗教観

なんとなくテレビつけてて、プレミアム10再放送、ドストエフスキー特集。金原ひとみとおじさんがしゃべってる。「宗教ってー(語尾上がり。以下同じ)、私にはよくわかんなくってー、キリスト教とかすごく俗っぽい理解しかないんですけどー、今でいうと、恋…