勝目梓『小説家』と西村賢太

 評判が良いようなので『小説家』読んでみました。
 どうも私は小説じたいがとっても好きというわけではないので、すごーく面白かった!と思うハードルが高いようです。目が肥えてる、というわけではありません(目が肥えるほどたくさん読んでいない)。もともとあんまり小説を好意的に見ていないのかな、と思います。そういうわけで、人はよく誉めているこの本も、それほどかなあ?と…。
 最初のほうはすごくいいんです。へたな純文学よりずっと文学的で、章ごとに完成度の高い短編小説みたい。それが読み続けているうちにどんどん雑くなって、後半のほうでは「はよ終わらんかなあ」とか思ってしまった。小説の中で自分のことを「行き当たりばったりで生きている」と繰り返していたけど、まさにこの小説の後半が行き当たりばったりな感じで…。最初は純文学、最後は限りなく「手記」に近い感じ。まあ手記でもいいんですが。
 正直さが評価されているようだけど、私は女なので、やっぱり作者の女の扱いとか容認しがたい気もするし、楽な気持ちでは読めないかな。正直ならいいんかい、という気もするし。
 ついでに、私小説といえば西村賢太ですが、この人も、女のことさえ書かなきゃ素晴らしく面白いのになあ、と思う。女の出てこない部分はとても面白いです。一人で寺を訪ねる話とか。でもどうしても、女の扱いは容認しがたい。正直ならいいんかい、と思う。いやそれよりも、ネタ化してないか?というのが気になるのかもしれない。ある種サービス精神的に露悪的表現にはしってる?ような? 読者を面白がらせようとしてるような? それとも「そうしなきゃ売れない」と言われてるとか?なんて勘ぐったりして。もっと自然でいいと思うんだけど。自然でもじゅうぶんヘンだと思うし。ま、3冊ぐらいしか読んでないのでぜんぶは知りませんが。