本宮ひろ志は徒党を組む

 『ニッポン不公正社会』(斎藤貴男林信吾)という対談本を見てたら、こういうことが書いてあって、笑ってしまった。そうかもしれない。

さ:(略)梶原一騎の漫画みたいに生きたかったから。あれ全部一匹狼じゃない? だから本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』は大嫌いだったの、徒党を組むから。梶原一騎が原作を書いた『夕やけ番長』が好きだった。
は:わかるね。(略)本宮ひろ志ってそうなんだよ。徒党を組むんだ。
さ:すぐ徒党を組むんだよ。
は:なおかつ時代が下ると、『俺の空』みたいに、ものすごいブルジョアだったり、権力だったり……。
さ:彼は権力が大好きなんだ。
は:桁違いのお金を持ってたり、権力と密着してたりして、そこでものを言うんだよね。
さ:だから、あれは受けるのよ。(略)
は:でも、あれは一つのパターンで、昔のいわゆる青春ドラマでもそうなんだけど、必ずトップはよき理解者なんだよ。熱血先生にいじわるしたり、辞めさせようとするのは教頭なの。校長や理事長じゃないんだよ。校長や理事長、金太郎でいえば会長なんかがなぜか懐が深くてさ。

 水戸黄門なんかにもいえている。トップはなぜか懐が深い。
 なおこの本で面白かったのはほぼここだけで、他は特に面白くなかった。斎藤貴男はいいんだけど、対談相手の人がいまいち感じがよくなくて。サラリーマンでしか生きられない人の発想というのがまったくわからないから、自分もちょっとはサラリーマンをやっておけばよかった、とか、悪気はないかもしれんがよく言えるわ、と。斎藤貴男は同志には甘い(斎藤美奈子が女に甘いように)。