映画「浮雲」

 昨日、親んちで夜テレビつけたら、古い白黒映画をやってた。しょぼい温泉街で、優柔不断な優男とお色気女2人の三角関係ぽい話。あまり面白くなさそうなので他のチャンネル見て、しばらくして戻ったら、舞台は東京に移っていて、男は流されるまま温泉街の夫持ち女と同棲しているらしい。そこへ元の女がやってきてウダウダ。。全体に、どうにも貧乏くさい雰囲気。やっぱり面白くないなあと思ってまた他のチャンネル回してしばらくして戻ったら、女はけっこうリッチな生活をしているのに、久しぶりに会った優男にほだされてまたウダウタ。そうこうしているうちに、なぜか屋久島に行くとか言い出して、舞台は屋久島への船が出る鹿児島へ。この時代の屋久島なんて地の果てじゃないか? なんだかロードムービーみたいだ。この鹿児島はすごかった。明治時代のような古色蒼然とした風景。旅館の女性のしゃべり方といい服装といい、鹿児島というより奄美大島か沖縄くらいの勢い。この時代の鹿児島あたりはこうだったのだなあ、とちょっと面白くなってきた。このぶんなら屋久島はさぞや。と思ったら屋久島は山小屋みたいなのしか出てこず、映画もあっさり終わっちゃう。え、これで終わり? なにこの映画?と思ったら、「浮雲」だった。え、「浮雲」ってこんな話なの? ダメ男だけどモテモテ男とそれを取り巻く女の話。以前、読みかけて5ページほどでやめちゃったからなあ。何というか、暗くて貧乏くさい感じがして、読み進める気がしなくてなあ。
 林芙美子といえば、貧困に負けず力強く生き抜いた女の物語、ってことになってるけど、実際読んでみると、体が熱くてたまらないの、私は男なしでいられない女、オトコオトコ!って感じの話が多いので驚く。教科書には確か「貧困にも負けず(ry」って書いてあったような気がするけど。まあそんなこと言ったら「ノルウェイの森」だって同じようなものだし(ていうかもっとひどい)、純文学とはそういうもんなのかもしれない。
 あとからネットであらすじなど見れば、映画の前半は戦中のフランス領インドシナ(現ベトナム)が舞台らしく、その部分はもっと明るいお話らしい。やっぱりロードムービーだ。最初から見たかった。
 若い頃の高峰秀子岡田茉莉子がほんとにきれいでしたです。
 最近のNHKはちょっとましな番組はみんなBSでやるので地上波の番組のくだらなさには輪がかかっている。この間はBSでボブ・ディランのDon't Look Backやってたぞ(電気屋の店頭で見たのだ)。いいのかこれで。まあ、テレビ持ってないし、どうでもいいか。
 ところで林芙美子の若い頃の写真は(わりと写真によって別人に見えることが多いのだけど)誰かに似てると思っていたけど、サイバラに似てるのだと今日気がついた。貧乏にも負けず男や子供をバリバリ養うっていうあたりも似てるな。生まれ変わりちゃうか。