行きつづけるか、どうするか...

 数年前、奥歯の詰めものにひっかかりがあるのを歯医者に訴えたら、金属の詰め物の表面だけ削ってその上にレジンを乗せる、という適当な治療をされたことがあった。何となくおかしいなあとは思ったものの、歯科医は何も説明しないので、レジンを詰めたことも、詰めものの奥の金属を取り除かずそのままなのも、その時は知らなかった。
 力のかかる奥歯にレジンなので、そのうち減ってきて、また段差ができてきた。奥歯の真ん中がぼこっとへこんでる感じ。何か所かの歯科医でそこの詰め物をやり直してほしいと言ったものの、どの歯医者も「大丈夫ですよお〜」と言って直してくれなかった。歯医者は他の歯医者が触った治療痕をあまり触りたがらない。かみにくいのはもちろんだけど、虫歯になってないか気になっていた。どの歯医者も「大丈夫ですよお〜、虫歯にはなってないですよお〜」と言っていた。
 数ヶ月前、やっとこさ「この詰め物は段差ができてますね。やり直したほうがいいですね」と言う歯科医が現れ、「そうなんです〜!」と泣きださんばかりに喜んで直してもらった。上のレジン、その奥の金属を取り除くと、案の定、虫歯になっていた。今まで「大丈夫ですよお〜」と言っていた歯医者は何だったの、という体験はもうしょっちゅうなので慣れっこになってしまった。
 新しい詰め物を入れてもらって、やっと直してもらえたと喜んでいたら、その歯と隣の歯との間にやたら食べ物がつまるようになった。フロスしないととれないくらいがっつり詰まったりする。あれ?詰め物合ってない?
 もう、これだけたくさんの歯医者に行っても、どこもいまいち〜あんまり〜良くない〜ヤブ〜悲惨、の間だと、もうこれは日本の歯科医療のレベルが低いんだと思わざるをえないです。もう多分、構造やシステムに問題があるのだと思う。今年は過去の歯科治療の失敗のせいでえらい目にもあっているので、今まで日本の歯科医療はこんなことやってきたのか、と痛感しているものでもあります。一番思うのは、再発予防に関してあまりにも無関心。まるでいつか再発してほしいと思ってるかのようだということです。そこまで思ってないとしても、いつか再発したところで自分が責任を問われることはないというのがわかっているのでああいう治療ができるのだと思わざるをえないです。
 歯科医師会は同業者を守り合う組合であって、決して患者を守ることはしない。患者側を守る団体もあってもいいとつくづく思う。まずは、どの歯をいつどの歯科医が直したのかというカードでもつくるといいんじゃないかな。歯科医は自分の治療する歯にもっと責任を持つべきですよ。だって歯は自然治癒しないし再生もしない。治療のあとはずっと残るんですよ。あとは、ある程度専門化したほうがいいね。とりあえず根幹治療は絶対に専門化したほうがいい。あんな熟練した技術がいるものを、何でも屋がやるのは間違ってる。歯医者って根幹治療する時「やだなー、めんどくせーなー」とひそかに思うこと多いらしい。実際それくらいめんどくさい作業だし、点数は低いし、その上いずれ悪くなっても責任問われないとなると、テキトーになるのも無理ないわな、と思っちゃう。
 やっと手をつけてくれた件の歯科医院では、その後別の歯の根幹治療をしたものの、ぐいぐいファイル(根幹治療用の細い器具)を力いっぱい押し込むので(一度これでファイルの先が歯の根に残されてしまい、しかもそのことを隠していたという「悲惨レベル」の歯科医に当たったことがある)こわくてたまらない。大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせて我慢していると、歯の根を(内側から)ぐさっと突き刺されて、小さい悲鳴とともに椅子から3cmばかり飛び上がった。その時の歯科医(女医さん)の一言がすごかった。「あ、ちくっとしました?」さすがにNOと言えない私も「ちく、どころじゃなくて痛かったです!」と言ってしまった。その後、何度も「丁寧にしてください」とお願いしたにも関わらず、ガリガリ内側を削る力が余って、歯肉をグサッと突き刺し、また悲鳴。さすがに「あ、すみませんすみません」と謝る歯科医。次あたり根充(最終的に根に充填する)だけど、あまりの乱暴さに行くのを躊躇。予約キャンセルしてしまった。今までたくさん根幹治療はしたけど、ファイルで歯茎突き刺されたのは初めてだ。
 どーしよーかなー。ここまであの歯科医院でやったし、他に行ったらまた最初から根幹治療やり直しと思うと(また中を削られると思うと)それもなー。しかも、新しい差し歯、ハイブリッドで6万円とか言ってたしなー。それだけのお金をあの歯科医の治療にかけてよいものかどうか...。
 しかし、歯肉を突き刺したファイルをそのまま神経の穴に戻すってどうなのよ。ほんとは唾液も入れちゃいけなくて、そのために「ラバーダム」なるものを欧米では使うんじゃないの? せめてファイル交換してほしかった。