ラジオにパティ・スミス

 夜中の3時過ぎ、BGM代わりにニューヨークのラジオ局をかけていたら(英語だと意味が頭に入ってこないのでBGMにちょうどいいのです)、番組ゲストらしき女性が、何だかロバート・メイプルソープの話をしていた。最初は、評論家かライターの人がメイプルソープについて語ってるのかと思っていたんだけど、何だか、ロバートがボーイフレンドだったとか言っているので、ええっ?と耳をそばだてたのだ。耳をそばだてても英語なのであんまり意味がわかんない。録音したいがネットラジオでは無理(可能だろうが想定してないのでソフトがない)。
 1969年には、二人ともすでにアーティストだったけれど、ロバートはまだ写真を始めてはいなかった。司会の男性が「その時は彼がゲイであったことは?」と聞くと、パティは「その時彼はまだ自分の内なるネイチャーを自覚してはいなかった。彼は完璧なボーイフレンドだった。あらゆる意味で」と言っていた(当時のパティを選んだ時点でじゅうぶん兆しはあると思うけど)。
 アメリカのネットラジオには前にも新刊を出した(らしい)リチャード・ドーキンスが出ていたのを聞いたことがある。新作を作ったマイケル・ムーアも出ていたし、知らない人だけどパトリシア・ハイスミスについての本を出した人がハイスミスについて語っていたこともある。文化人がよくラジオで新作の営業をするみたい。パティも昔を回想する本を出したみたいだ。特にメイプルソープについて語った本を。
 パティの語り口は落ち着いていて、もうかなりお年寄りに近い年齢かと思うけど(今調べたら、1946年生まれ。団塊!)、私が以前見たインタビューのビデオの様子とはずいぶん違っていた。大昔の全盛期のインタビューでは、何かに追われるような、いかにも生き急ぐような、神経質で強迫的なしゃべり方で、うわーいかにもアーティスト、と思ったものだけど。ところでビョークもこういうしゃべり方をする人だったので、イタコ型の女のミュージシャンはこういう感じの人が多いのかも。
 しかし、今頃メイプルソープ(とその時代)の回想か…。貴重な時代の証言であることは間違いないけど、だいぶ記憶も薄れてるのではないのかな。こういうのもひとつの、昔のヒット曲をやるみたいなもんかなあ…。