『魔王』(韓国版)7話まで見た

 7話で主要なエピソードが明かされるので、だいたい登場人物もぜんぶ繋がり、話の流れも見えてきた。しかし人物の描写が丹念で洞察が深いので、ぜんぜん飽きない。ていうかいじめられっ子(大人)が泣きながら走ってるシーンは泣かせたよ。童話とダブらせるところが本当に憎い。演出うますぎ。

 また主人公(弁護士のほう)の表情がいい。少しずつ復讐を果たし、母親の好きだったアメちゃんを口に含み(小道具めちゃめちゃ多いのよこのドラマ)、満足そうに笑うでもなく笑う顔が、幽玄というかなあ…。

 だいたいこれは、極めてキリスト教的な主題の話なんだな。キリスト教が根付いている国ならではのドラマといえるかもしれん。だとすると、ヒロインの役割は聖母マリアってことか? それだけはやめてほしいところだが、どうも登場人物の中でヒロイン(とその母)だけが清純で天使のようで罪を抱えていない、というところが気になるな。しかも神通力まであるしな。美しい少女だけが聖なる存在、みたいな話キライなの私(男が作った話なの丸出しだからね)。

 韓国ドラマが人気がある理由のひとつは、もしかしたら日本ではバブル以降絶滅してしまった「正義」という観念が強く息づいていることにあるのかも。善し悪しはどうあれ、そのはっきりとした中心があるから、見てて心地良いのかもしれない。今や日本ではアニメや特撮ヒーローでさえ正義のためではなくて自分探しのために戦うのでしょ。「なぜ戦うの」「オレ自身のためさ」みたいな。