『ファン・ジニ』スポ根としての妓生

 すごく見たかったドラマだけど、期待してたほど…もしかしてあまり面白くないかも? 画面はとてもとても美しくて芸術的だし、衣装も背景も撮影のアングルとか演出も、そして音楽もいい。でもなんか、話が強引? というかスポ根? 妓生を題材にテレビドラマにするんだから、これで仕方ないのかな? それに、私はこの主人公にどうも感情移入できなくて、あまり続きを見たいという気にならない。だって、ただの自分勝手な女にしか見えないんだもの。美人だから何でも我が通ってしまう目立ちたがりのタカビー女にしか。

 主演女優の人もあまり好きなタイプじゃないかも。口をへの字に尖らせ、その口の端を曲げる、ついでに眉毛を上げる、アゴをクイっと上げて見下す感じにする、あの演技がどうも苦手だ。韓国の女優はたとえ悪役やヨゴレ役であっても、どっか清潔な感じがする人が多いけれども、そういうのあまり感じないなあ…。

 ただ、初恋の相手のお坊ちゃん役の人はとてもかわいい。女の人でこのドラマ見てて、思わず「かわいい…」とつぶやいてしまう人は多いと思うなあ。両班の坊ちゃんのあのヘンテコな頭巾がこれほど似合う人は見たことない。ただ、主演女優の人が面長の大人っぽい顔つきなだけに、まるで28歳のお姉さんと16歳の少年の禁断の恋、という感じになってしまうのがどうも…。

 韓国ドラマの「あり得ない」設定にいちいちツッコミ入れるのは野暮ですけどね、妓生相手に愛の結婚の、この時代にあり得ないと思いますよ。水揚げの場に妓生の母親が来るというのも…。むりやり「初恋」設定にするために強引すぎて引いちゃう。妓生は男を相手にするのが職業で、相手は両班なのだから、普通に側妻にしたらいいんじゃないの。

 まあちょっと、期待してたのと違ったかな(もっと大人っぽい話と思ってたのよ)。これだけ映像が美しいのにこんなに早送りしてしまうとは…。映画版の方はどうなのかな。