사의 찬미『死の賛美』と『ドナウ河のさざ波』

 ある場所で韓国人の女性歌手の歌う歌を聞いた。聞き覚えのあるメロディなので、何かの曲のカバーなのだということはすぐにわかった。だけど何の曲なのかわからない。アレンジがとても静かで美しく、また歌手の声が低音で落ち着いていて、当たり前だがうまい。歌詞も謎めいていて、単純な恋愛の歌とかではなさそうだった(訳詞が出てたのだ)。

 クラシックのカバーかな?という気がした。いや、韓国歌謡の「鳳仙花」にも旋律が似ている気がする、と思い、例によってつべで調べてみたが別物だった(「鳳仙花」ももともとバイオリン用に作曲されたものなので、クラシックぽいのも当然だった)。結局人に聞いて、それが「死の賛美」という曲であることがわかった。つべへ直行。そしたらすげー昔の、香ばしいくらい昔の、いわゆる「韓国歌謡」的なビデオがいくつも出てきた。どうやら韓国ではスタンダードナンバーのようだ。しかし、なに故「死の賛美」? いくら韓国人が悲劇好きとはいえ、歌謡曲のタイトルにはふさわしくないだろう。

 ネットには情報が少なかったけど、どうやら日帝時代に作られた歌で、作詞した男と歌った歌手は心中したのだとこちらのサイトで知った。曲はルーマニアのイヴァノヴィチという人が作曲した「ドナウ河のさざ波」。ドナウ河のさざ波?美しく青いやつではなくて?と思うが、19世紀末のパリ万博で演奏されて有名になった曲らしい。この曲はよくよく歌詞をつけて歌われる運命らしく、日本でも叙情的な歌詞をつけて歌われているし、アメリカではアル・ジョルソンが1947年に「アニバーサリー・ソング」という歌にしてヒットしたとのこと。誰か元のタイトル使ってやれよ。

 あれこれ見ているうちに、何でこの曲に聞き覚えがあるのかぼんやりわかってきた。あれだ。サーカスとかチンドン屋が演奏するもの悲しいメロディ、ジンタっていうんですか、あれあれ。きっとそうだ。でもほんとにそうかなあ? ちょっと違う気も…。ジンタの代表曲は「美しき天然」だよね。もっと他に、何かあるような気がするんだけど…。うーん思い出せない!