いっぺいはいらない

 緒形拳の1965年大河ドラマ太閤記」を放送するというのでNHKアーカイブスを見てみたら、司会席のアナウンサーの隣に当たり前のように座っていた。そういえば赤塚不二雄特集の時も司会席にいたが、赤塚直筆の絵入りの扇子を見せびらかしていたので、赤塚と縁があるからゲスト司会者のようなもんで出ているだけと思っていたのだ。その赤塚特集の時に、ゲストの古谷三敏山本晋也が猫のキクチヨと赤塚の美しいエピソードで盛り上がっていたというのに、その真っ最中にいっぺいが「ちょっと待ってくださいよ、それじゃ赤塚さんじゃなくて猫の追悼番組になっちゃいますよ〜」などとウケ狙いの余計な口出しをして話をブチ切ってしまい、キクチヨの話をもっと聞きたかった私はすっかり頭に来て、それ以来、このいっぺいという人の顔を見るのもいやになってしまったのだった。だいたい、司会進行などNHKの上品な年かさのアナウンサーに任せておけば(若いのはいけない。若いのはいくらNHKアナでも「いちびり」だから)あんな風に自己顕示欲からゲストの話を遮ったりはしないのに。NHKアーカイブスの司会に、なんでタレントを置く必要があるのか、意味がわからない。

 だいたいNHKには特定の文化タレントを贔屓にするところがあって、最近目に付くのは、史上最年少で真打ちになったとかいう世襲落語家の人で、落語好きでもない私から見たらまったく面白くも何ともないと思うのだけど、NHKには頻出している。

 ところでいっぺいは兄のこぶ平(名前変わったらしいけど、覚えられない)と顔が似ていない。いっぺいはヤスハとそっくり。ミドリともそっくり。母親似なんだろう。こぶ平は三平でなくて他の名前を襲名させられたことに一物持っているようなことがwikipediaに書かれていた。三平はいっぺいが襲名するらしい。私は落語好きではないが、いっぺいよりはこぶ平のほうが才能はある気がするが。ヤスハの離婚問題も含め、ドロドロした一家だ。ていうか落語界ぜんぶがドロドロしている。

 wikipediaによると、前こぶ平スイングジャーナルに寄稿するほどコアなジャズ好きらしい。死の直前のチェット・ベイカーの公演を辛辣に批判し、特にマイルスのファンである、とのこと。SJに連載していた時は高校生だったらしく、高校生でSJに連載したのは大橋巨泉以来だったらしい。そういえば顔(というか体型)も似ている。まあそれも金持ち故でもあり(ジャズファンは金がかかる)、世襲落語家全てに言えることだが、あんたが長屋噺するか?と。落語はすでに庶民の娯楽ではなくてハイソなご趣味なんだよね。ジャズも同じだけど。