元グループサウンズ

 沢田研二が還暦だというので、少し前にNHKで番組を組んでいた。見た目はそりゃ歳を取っているし体型もアレだけど、声は驚くほど変わっていなかった。全然ブランクを感じさせない。声の艶を失っていないし、音だけ聞けば昔の録音かと思うくらいだった。

 堺正章もCDを出したとかでテレビで歌っていたけれど、こちらは見事に声が出なくなっていた。お歳なんだし仕方ないと思うところだけど、ジュリーが衰えていなかっただけに、やっぱり継続していないと声は出なくなるもんなんだなあとしみじみ思った。

 番組によると、ジュリーは長い間テレビには出ていなかったけれど、毎年ライブツアーを地道に続けていたし、自主制作で(!)アルバムを作り続けていたらしい。テレビに出ていなかっただけで、実はブランクなんてなかったんだ。立派だ。

 声優やアナウンサーのように声を仕事にしている人は、歳を取っても本当に若い頃と変わらない声をしている。アムロの人はいまだにアムロの声だし、黒柳徹子黒柳徹子のままだ。聞いた感じで「若い女の声」とか「おばさんの声」「おじさんの声」「お年寄りの声」なんてものがあるのは確かなんだけど、実は声帯というのは、体の他の部分に比べてずっと、訓練次第で衰えないものらしい。

 ツェッペリンが再結成だかで「天国の階段」を演奏した時、さすがにギターソロ後のがーっと盛り上がる部分はプラントの声が出ていなかった。「嵐が丘」をセルフカバーしたケイト・ブッシュも、ラストの「きゃ〜しぃ〜〜」と一層高くなる部分では声がひっくり返ってた(よくそのままCDにするわ、と思ったが)。まあ、限界はあるわけだけど、それだけ若い頃は力を出し切ってたってことなんだろう。賢明なユーミンは「あの日にかえりたい」をリメイクした時、キーをいくつか下げていた(と、カラオケで歌った時に気がついた)。私は、声がひっくり返っても、意地でも元のキーでやろうとするケイト・ブッシュが好きだ。

 堺正章の父親は有名なコメディアンで、金持ちだったらしい。鎌倉にあった広い家で、堺正章は小学生になった頃、父親に好きなもの買ってやると言われ、「大きな犬がほしい」と言ったところ、ある日学校から帰ってくると家の前にトラックがいて、中から10匹のシェパードが…、という話をしていた。そういえばムッシュかまやつも父親がミュージシャンで、この間ゴンチチがDJをやっているラジオで父親とセッションしている曲がかかっていた。超ダサいに違いない、と思ったら、すごくかっこよかったので驚いた。スパイダーズって、2世バンドだったんだ。