ワカモノ本位主義

 レンタル屋に行く度に韓流コーナーのボリュームに圧倒される。おじさんが携帯で(たぶん)奥さんの指示を受けながらDVDを選んでた。「裏の棚まわったでー。あ、『火の鳥』あったあった。何やて? ああそれはアカン。まだ新作やー」とかいって。きっと中年夫婦が一緒に見るんだろうな、と思うとほほえましい。日本製のドラマならなかなかこうはいかんだろう。

 韓流ドラマ、見れば見るほど昔の少女マンガというか、悪く言えば古くさい感じのものが多くて、まあ実際に古めのものも多いのかもしれないが、中年以降の人が見てノスタルジックに感じるのは当然と思う。時代劇もいっぱいあって、日本とは違って時代劇も生き生きしてるし(「朱蒙」なんか、最初の方しか見てないけど、めくるめく面白さでわくわくできる。そんな時代劇、今の日本にはないでしょ)、時代劇ならおじさんの視聴者も多いだろうし。

 今さらだけど、日本人がいかにワカモノ文化が好きか、ワカモノや子供にばかり目を向けて、大人が楽しめるものを作ってこなかった、考えようともしなかったかを、もう、韓流コーナーの棚の間にいると、まざまざと感じてしまう。実際はワカモノである間なんてほんの十数年で、あとは「もう若くない」って人が大多数なのに、そういう人たち向けの娯楽が少なすぎる。日本人はワカモノと子供本位主義だから、大人は楽しんではいかんちゅう思想なんだね。実はすごい購買力なのにね(人数は多いし、経済的余裕もワカモノに比べてあるんだから当然だよね)。その層をごっそり韓流に持っていかれて、まあツケを払わされたというんですかねえ。