エクソダス

 大阪の十三はいつも中国人や韓国人で溢れていたのに、あっという間にいなくなった。その代わりに、めったに見ることのなかった白人を見るようになった。ほとんど見たことのないインド系のような人もいた。中国人や韓国人はさっさと国に帰り、もっと遠くのすぐには帰れない国の人は東から逃げてきたということだろうか。それに、いつになく人が多いような。普段十三には少なめの、普通の若い女の子たちも多かったし(十三、風俗の多い歓楽街です)。電車に乗ったらスーツケース持った人もちらほら。連休でもあることだし、とりあえずつてのある人は東から避難してるのかもしれない。
 避難指示区域からは千人余りの人たちが数十台のバスに乗って町ごと他県に避難したとニュースでやっていた。町民を率いる町長はまるでモーゼのよう。多分、避難指示区域外の人たちも、この先自主的にどんどん出て行くのだろう。やっぱり、旧約聖書的風景だ。
 石原はすげーなあ。よくあんなことが言える。撤回したようだけど。
 NZ地震の報道であまりにも日本人日本人と偏執的に言い続けるので、これはひどい、この国はソドムかゴモラか、とぼんやり考えていたところだった。しかし火が降ってきてもほんとうに悪い奴は無傷で今もよく眠り、何も悪くない庶民が犠牲になるのだろう。
 この国には悪いものがたまっていると思う。まわりを見たって、いい人ってほんとうに少ない。思わずええっ?というような利己主義が普通の人の間でまかり通っている。いい人がいてもだいたいあんまりいい目にあっていないし。普通の人だけじゃなくて、本来、少しは人の上に立つような、高学歴のインテリ層みたいな人の利己主義は(私の知ってるごく狭い範囲の話ではありますが)輪をかけてすごい。よくわからないけれど、昔からこうだったわけじゃないと思うんですよね。やっぱり、バブル以降、日本人の価値観が大きく変わったのではないかな。80年代諸悪根源説。地震と結びつける気は全くないですよ、念のため。
 消防庁の人の涙目の会見、すごい悲壮感だった。部下を放射能の危険にさらしてしまったつらさなんだろうか。自衛隊の動きながらのヘリ放水も、隊員をなるべく危険にさらさないためにああいう形になったわけでしょう。しかしそんな、屈強な男が涙目になるくらい危険なものがこの狭い日本にいっぱいあるなんて、本当に異常だと思う。
 今、「原発」でぐぐったらwikipediaの次に出てくるのがこれですよ。
 原発がどんなものか知ってほしい
 頭の中でずっとボブ・マーレーが歌ってるわ〜。