どこまでもっていくの?

 この間、ラジオNikkeiの経済番組を聞いてたら、リスナーからの資産運用のご相談というコーナーがあった。50代の女性から。数年後から年金がもらえるようになるが、年間30万円ほどしかもらえないので、足りない分を資産運用で補いたい。資金は1000万円。運用方法を教えてほしい。
 べつに、考え方としてはよくわかるし、特に欲深いわけでもないし、普通のことなんだろうと思う。番組でも普通に資産運用のアドバイスをしていた。けど、考えてみたらこの人は、自分で貯めたお金を老後にさえ使う気はぜんぜんないのである。貯めたお金でなんとかそれ以上のお金を作ろうとしている。働いている間は「老後の蓄え」としてお金を貯め、実際に老後になると、まだ心配なのでさらにお金を貯める。確かに1000万では老後の資金としては心許ないかもしれないけれど、少なくとも「生きてる間に自分で稼いだ金ぜんぶ使って死んでやるー」という考えは持ってないことだろう。
 日本は本当に安心して老いることが難しい国なので(年金記録がデタラメなんて、暴動起こってもいいと思うけど)わりと収入に余裕のある人でも、とにかく老後の蓄えに貯金をする。頼りなのは金だけだもの。安心して老いるには1億あれば何とかなる、とか、いや2億だ、とかいって。でもきっと、その蓄えた1億か2億も資産運用するので、元手には手をつけないんだよね。
 フリーターやってるような、団塊ジュニアやロスジェネといわれる世代の人たちに関して「そんな頼りなくて将来どーするんだ」と心配される向きもあるでしょうが、この人たちの世代まではけっこう大丈夫なんじゃないかなあという気もする。親がため込んでいるからだ。上記のような人が多い限り、というか、日本の政治が劣悪で安心して老いられない社会が続く限り、親は貯めたお金を死ぬまで使わない。30年ローンで買った持ち家もある。それらは子供に遺産相続される。その頃には子供も中年を過ぎて老齢に差しかかる頃かもしれず、それまでなら何とか非正規でも食いつなげるかもしれない。子供は1人から多くても3人くらいしかいないし、頭数で割ってもそれほど目減りしない。それに、この世代はそもそも貧乏に慣れていてあまりお金を使わないライフスタイルなので、親の残したお金でかなりの期間、もしかしたら死ぬまで、細々とやっていけるんじゃないだろうか。たぶん、親世代より寿命短いだろうし。
 親がビンボーな知り合いは、相続税を100%にしろー、と叫んでたけどね。