金満里(劇団態変)出演のラジオ番組

 たまたまNHK教育ラジオをつけたら、妙な番組をやっていた。対談形式で障害者の話をしているのだが、出演している女の人がものすごくずけずけと、かつ深いことを言っているのに、ついボリュームをでかくして聞き入ってしまった。番組の終わりに、それが「劇団態変」という障害者の劇団(というかパフォーマンス集団)を主宰している金満里という人だということがわかった。在日の人だった。

 対談相手は同じく障害者のNHKディレクターで、こっちの方はごく普通の、いまどきの若者という感じの人で、金さんのほうとは、何というか、濃度がぜんぜん違う。

 そのディレクター(というかワカモノ)相手に、金さんは、何でそんな「普通」になりたがるのか、と喝破していた。要するに、特別になれ、と言っているようだった。

 障害者としての視点(価値)を提示しろ、その時に摩擦が起こるが、摩擦をどんどん起こさなければいけない。自分から衝突しなければ、健常者は本音を言わない。「おとなしく努力をやってたら、可愛い可愛いと頭なでられて終わりですよ」 障害者なんて異物なのだから、革命として一石を投じる役割は十分あるのだ。などなどと言っていた。

 誰もが「個性」に取り憑かれ、個性的であらねばならない、誰もが特別な世界にひとつだけの花でなければならないというビョーキに取り憑かれている時代だが、障害者は逆に「普通」に取り憑かれているところがあると常々思っていた。でもそんなことは健常者からは決して口にできないわけで、それをズバズバ言っている障害者の人がいるんだなーと思った。私は「特別になれ」とはよう言わんが、金さんんはどうも、障害者であることは特別なことなんだから、それを突き詰めろ、と言っているようだった。日本人離れした考えを持った人だ(と思って聞いてたら、在日だったけど)。

 ワカモノにはどれだけ伝わったか、ちょっと怪しかった。最後に「もっといろんな勉強してください」と金さんに諭されていた。

 http://taihenart.exblog.jp/7541867/
 こちらにご本人の日記が。たしかに斬新というか異色な番組だった。