阿久悠のことば

 「昔は『あの人は金儲けは下手だけど、とても立派な人です』という言葉があったんですよ。今はないんです。金儲けできなかったら、下の句の「立派な人です」というのはついてこない。上の句でしか評価されない時代になっていく。これはもう、やっぱり嫌だなと」

 経済面はもちろんのこと、文化的側面におけるバブルの悪影響は今もめんめんと影をおとしている。日本人の精神にバブルが残した退廃ははかりしれない。「善意」のようなものは価値を失ったばかりかマイナスの意味さえ帯び、揶揄の対象にしかならない。鬱や自殺が増加して当然だと思う。